その声で…４

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俺の気持ちを慮って人前では手を出してこないのだ。

そんな伊東のささやかな願いを叶えてやりたいと心の中では思いつつも、自尊心が邪魔をして上手くいかない。

「ったく、馬鹿言ってないで行くぞ」

ともすればそんな憎まれ口ばかり叩いてしまう自分に辟易しながら、俺は伊東を促し歩き出した。