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冬休みに入り、翌々日の25日。 俺は待ち合わせ場所である駅の改札口前で伊東の到着を待っていた。 約束の時間まではまだ20分もあるのだが、いつ何時なにが起こるかわからないのでいつも俺は早めに出るようにしている。 その間手持ち無沙汰にならないよう本も持って来た。 双子の妹である千秋に面白いからと日々押しつけられる無駄に裸色の強いファンタジー小説ではなく、父親の書斎にあった物だ。 その千秋には何故かニヤニヤしながら送り出されたが、あいつの考えることだ、どうせろくなことじゃないだろう。 「こーうのっ」 壁に寄り掛かり、暫く本に目を落としていると声をかけられる。 「…っ!」 それだけで心臓が高鳴るのがわかった。
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