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「何で入学式なんかに来なくちゃいけねぇんだよ!」
「いいじゃん別に。今日予定があった訳でもないんだから」
「そうそう。それに新入生から奴隷候補も探したいしさ」
………奴隷候補?
聞き慣れない単語が頭にのこる。
「奴隷?いらねぇよあんなの。去年だって西高の奴等に拉致られたしよぉ…」
「つかさ。湊が奴隷に手出したりするから、奴隷の方からいなくなったんだろ?」
「だってさー、奴隷の子の方からきたんだもん。そりゃ手、出すでしょ。男なら」
奴隷とか拉致とか、何言ってんだ?
その数人の男子生徒であろう声と足音が段々と近くなってくる。
…あれ?
これ、ひょっとして出くわしてしまうんじゃ…?
段々と近くなりだす気配に、そんな考えが頭を巡る。
「やばっ…離れよ…」
声の感じから、恐らく素行のいい生徒とはいえないだろう。
入学して早々絡まれるのは勘弁したい。
私はその場から立ち上がり、声のする逆方向に歩き出した、が。
「ぼふっ」
角を曲がって直ぐ…。
声のしていなかった方からも人が来ていたらしく、勢いよくぶつかってしまった。
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