6人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
荒れた大地、生きる気力を失った人々。
老婆の横で子供が生き倒れ、うつ伏せになっている。
老婆は悲しみに嘆き、隣人は次は自分達だと嘆く。
僕は持っていた最後のパンと、最後の水を老婆に渡した。
老婆は子供に水を飲ませる。
子供はゆっくりと水を飲み息を吹きかえした。
この老婆の行いこそが世界に真に必要なことだと僕は思う。
持っているなら分け与え、自分より弱者を守り、それを繰り返すことで世界は正しく廻る。
正常な世界の歯車を狂わせる物が無ければだが。
砂が舞う荒野を歩く僕の前に、狂わせる物が現れる。
いや、例えるなら真の巨悪の剣が僕を滅ぼすために来た。
最初のコメントを投稿しよう!