バレンタインデー(翔×心咲)

2/17
前へ
/50ページ
次へ
「心咲先生、その指輪 婚約指輪みたいですよね」 教務室の自席で作業していた心咲の利き手が側に座る女教師、宮前がそう言って翔から貰った指輪を見詰めていた。 「えっ、あ… ええ、母親の形見なんですよ」 なんて、苦笑して誤魔化す心咲に 「なんだ、そうなんですか なんか高そうですもんね でも、そんなの着けてるから心咲先生いつまでも結婚出来ないですよ お母さん泣いてるんじゃないですか?」 なんて笑う宮前 心咲は内心、余計なお世話だと悪態を付けつつ 平静を装い、仕事に戻る事にした。 軽く自分の利き手、薬指に光モノを眺める。 着けてないと、翔は不機嫌になるし… いつも着用していた心咲 しかし、男の自分が女物の婚約指輪等、いつまでもはめていれば それは変だと思われるのは当たり前で 聞かれれば、さっきの様に誤魔化すのだが 心咲としては、いつもヒヤヒヤものだ。 「職場では外すでしょ普通 そんなキラキラしたモノ 生徒に示しが付きませんよ」 そう不意に聞こえて来た声は、嫌味混じりで 「あ、はい すみません」 心咲は、咄嗟に指輪を外した。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加