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「まぁ、東さんも心咲は諦めた方が良いッスよ」
そう言って、東に後ろを向けた立原は、その足を引きつつその場を去って行った。
東は、そんな立原の後ろ姿を眺めつつ、目を細める。
諦めろか…
そんなのはとっくの昔の話や
東は、チラリと想い人の学校を眺める。
今、想い人は自分の彼と愛を確かめ合っているかもしれない
いや、十中八九そうだろう。
目を瞑れば想像出来てしまうのだから嫌になる。
解っていたんだ
心咲は今、幸せなんだろう
俺が守らなくても
守る人が居る
これはただの自己満足
電車の中で出会った時は、直ぐには気づけなかった。
まさか、自分がずっと記憶の中で想い続けている彼だなんて
夢にも…
二回目に出会った時、名前が解った時
運命だと思った。
これは、俺に心咲を守る使命が有るのだと
思い込んだ。
心咲を苛めていた翔と付き合っていると知った時も
彼の本性を知らないから
心咲は騙されているんだ
知らせなければ
奴から引き離さなければ
そう思った。
だから立原を焚き付けたし
心咲を守れるならと
俺が悪者役になった。
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