嵐は前触れが有るもの

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一番上の姉様ことエルノア・ロイズ・フォレオーラ・ロックシンザーはとても公平な方だ。 ちゃんと話せばどちらが悪いかなど、すぐに分かってくれるというものだ。 「相変わらずのようね、ギアローゼ。」 今まで沈黙を続けていた姉様が、扇子の向こう側で上品に笑っている。 「ね、ねえさま……?」 酔っぱらい一味の誰かが呟いた。 驚くのも無理はない。 私と姉様はあまり似ていない。 二人とも母様似だからな。髪の色と質は父様似といって言いかもしれないが。 「あら、驚いて? 正真正銘私(わたくし)の可愛い末の妹ですのよ?」 ナーヤと村長も驚いたようで平伏も忘れてこちらを真ん丸な目で見ている。 「ああ、一番上の姉様で、エルノア……えーっと、」 嫁いだからロックシンザーではないんだよな? 姉様を指差し、紹介するが途中で止まる。 五歳の頃、一度は聞いたことある気がするのだけれど……。 あれ? 「姉様どこに嫁いだんだっけ?」 そういえば、父様と姉様は異常に仲が悪くて、手紙を出したくても出せる雰囲気ではかったんだよな。 姉様から来た手紙は父様が握り潰していたらしく、読んだ事も、ましてや見たこともない。 五歳の時に嫁がれて以来連絡のしようがなかったし。
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