神無月

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「うそつき」  左手の薬指のリング。  それは将来を約束した二人の証。  今でも私は彼、チサがスキ。  大好き、ずっと一緒にいようね。  約束。  一か月ぶりのデートは楽しみがいっぱい詰まってる。  満月が照らす公園のブランコ。  独りでいっぱい漕いでるのも楽しい。  チサを待ってる時間だから楽しみがいっぱい詰まってる。  チサを待ってる時間だから楽しい。  チサのくれる時間は全部が楽しみに変わってくる。  夜の公園は少し寂しいし、ちょっと怖いけど、チサのことを考えると嬉しくなる。  入口からチサが見えて私はブランコを漕ぐのを止める。 「チサっ」  手をいっぱい振るとチサが気づいてくれた。  嬉しくて顔が綻ぶ。 「美雨、待った?」 「ううん、大丈夫!チサを充電するから」  駆け寄ってきたチサにギュウって抱き着く。  チサの匂いで鼻が満たされる。  頭を撫でてくれるチサにさらに腕の力を込める。 「ゴメンな、サークルの飲み会が思いのほか長引いてさ。どっか食べに行く?」
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