神無月

4/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 あれから三年、私たちの関係は何が変わったのかな? 「そういえば、おばさんから聞いた。進路の希望、変えたって」 「うん、ちょっとね」 「同じ大学に美雨が入ってくれれば、中距離じゃなくなるのに」  ねえ、チサ。  本当にそう思ってる?  変わらずに私を好きでいてくれてる?  聞けない言葉に腹が立って、ブランコを漕ぐ力をさらに強くする。  満月が二人を照らしてくれてるのに、光は影を濃くはしてくれない。 「いいじゃん、私の頭じゃムリあるって」 「頑張れよ」  勢いが付いたブランコの手を離して着地する。  一拍してチサと向き合う。 「千里君、これ返す。婚約解消?」  チサは呆けているけど、私はずっと考えていた。  この三年間で私たち何が変わったのかな?って。  私は変わらずチサが好き。  でも、チサは違うよね。  一歩ずつチサに近づく。 「もうママゴトに付き合う必要ないんだよ?」 「何言ってんだよ?」  手にしていたリングをチサの胸に押し付けた。 「もう終わりって言ってんの!田中優香、中島玲奈、加藤美姫、私の友達の牧瀬ナツメ。今まで付き合ってきた彼女でしょ?知らないと思った?私重たかった?私は何か変わったわけじゃないっ。変わらず好きでいようと思ったし、努力したかった!でももうこの指輪も約束も重いんだよ」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!