キス

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 夕方の校舎って眠い。  微睡む、催眠ガスでも流れてんのかって。  机に手を枕にして惰眠を貪るのも悪くない。  と思ってたら、誰か入ってきた。  寝たふりを決め込み、体に緊張が走る。  私が寝たふりをしている机の前で気配は止まる。  髪の毛に触れてくる指。  サラサラと流すように、触れる。  優しく壊れ物に触るように恐れてるみたいに、たまにぎこちなくなる。  ねえ、私はガラス細工でできてるワケ?  物足りなさと心地よさがない交ぜになる。  歯がゆさとフワフワした気持ちと、ジレンマが私を支配する。  気配が私に近づいてきてそっと唇が、触れるか触れないかのキス。  もどかしいのに、この時間が続けばいいという矛盾。  離れようとした気配の腕をしっかり掴んで、目を開く。  やっぱりタケルだった。  起きて後ろ髪を掻き上げる。  驚いてるタケルを睨む。 「なんなの?毎回毎回さ、ふざけてるの?私、この間も怒ったよね?」 『毎回毎回、私の寝込みにキスしてさ。王子様気取ってるとか?笑うけど、止めてくれる?気持ち悪い、ウザい。私に近づかないでよ、タケルなんか嫌い。もう私たちは6年前に終わってんだよ、いい加減にしてっ!』
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