プロローグ

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大急ぎで異世界データバンクにハッキングする。 イケメンの身元、人間界の現状など、必要な情報を収集、最後に全てのアクセス履歴を削除してモニターの電源を落とす。 こんな危ねえ橋を渡るのは本来俺の仕事じゃねえぞ! 「ジン、お嬢様はどちらへ?」 メイド長がドアを開ける、そのギリギリのタイミングだ。 冷や汗モノだぜ、まったく。 「論文に必要な人間の欲望を調査に。サンプリングにちょうどいい大規模なゲームが近々行われるらしいんでな」 集めた情報をもとに、適当に不在の理由をでっちあげる。 「俺も今から後を追う。10日間ばかり留守にするぞ」 メイド長に片手をあげると、そのまま異世界への扉を開ける。 背中から何やら声が追ってくるが――……、 聞いてられるか!! こっちは、あの脳ミソ空っぽで無自覚な王位継承者がとんでもないことをやらかす前に、何としても連れ戻さなきゃならねーんだよ!
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