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ウルゴーの家は暖かく、また明るかった。それだけで付いて来た価値はあった。
家の中を見回してみると、鉄器や工具のほかに、ネックレスのような装飾品も飾ってあった。豪快な見た目だが、こういった細かいものを作るのも得意ならしい。
暖炉の火には鍋が掛けられており、いいにおいも漂っている。
ウルゴーは木の器にスープを盛り、キロルに手渡した。ソーセージと野菜のポトフ。贅沢だ。
「ありがとう」
小さい声だった。
「ははは、どういたしまして。初めて声を聞いたな」
食べ終わると、体の芯から火照ったような感じがした。小さな幸せを噛み締めた。
「さてと。手伝って欲しいというのはこれだ」
部屋の片隅に山になっているものがあった。物が積まれている。ぬいぐるみやら靴やら、ジャンルは問わなかった。
側の机にはきれいな紙とリボンが置いてあった。
「こいつらをな、きれいに1つずつ包むんだ。やってくれるか?」
キロルはすぐに頷いた。
そっか、クリスマスも近い。プレゼントってことかな。こんなにたくさんのプレゼント、おじさんは結構お金持ちなのかもしれないな。
それからキロルはウルゴーと一緒に、1つずつ丁寧に包んでいった。
「……おじさん、これはクリスマスのプレゼントなの?」
唐突にキロルが口を開いた。ウルゴーは驚いた。
それまでウルゴーが何度か話しかけたが、首を振るだけで声に出すことはなかった。
……ようやく心を開いてくれたか。
「ああ、そうだ。クリスマスの日、……そう、あさってだな。町の皆から預かったプレゼントを、町の皆に配るって企画だ。面白そうだろう。俺が発案したんだ」
「ふぅん」
キロルはまた作業を始めた。
「……坊主、サンタクロースになってみないか?」
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