第1話「俺とおまえとっキャラメルポップコーン」

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「あ~、もうめんどくせぇ」 佐々渡 大和(ささわたりやまと)19歳。 将来の夢も希望も無く、向上心もヤル気も無いダメ人間。 趣味と言えばネトゲと、日本最大の電子掲示板を見る事で、キャラメルポップコーンを愛するクソニートだ。 ・・・なんてネガティブな自己紹介をしている場合ではない。 俺は今、履歴書を書いている。 いい加減バイトでもしないとキャラメルポップコーンどころか、う○い棒すら買えないからな。 最近は「オカンよ、金・・・」と言い切る前に"就職"という強力なマインドブレイク呪文をくらい、親父のありがたい説教が何時間も続くので、すっかり収入が減った。 「働かないで一生暮らしてぇな」 まぁ、分かってるよ。 クソだろ。 でもしょうがねぇじゃん。 だるいんだから。 履歴書に東大医学部卒業とか厨二みたいな事を書いてみたら、虚しくなったのでやめた。 「気分転換にコンビニでも行って、ジャ○プ立ち読みすっかな」 さっきオカンに“就職”の呪文を連続でくらったので、見つかるとまず逃げれない。 回り込まれて4ターンぐらい攻撃をくらい続ける。下手するとパーティーが全滅する危険性がある。気を付けろ。 俺はくたびれたモッズコートを羽織って、サイレントモードで家を出た。 「さみ~」 夜の住宅街に白い息がのぼる。世間は“もうすぐクリスマス”とか言う催しをやっているが、1ミリも関係ないのでスルーしておいた。
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