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「まだまだ酒が足りねえぞ。おい!酒を持ってこい!」
下劣に笑いながら酒をせびるその腹は見事にふくれ上がり、
村の僅かな食糧が犠牲になったことが見て取れる。
人並みの生活が幸せだった。
それを壊し、我が物顔で居座る鬼なんかに渡す酒なんて――
「ない…」
「なにぃ?」
「酒はもう…ない」
苦渋の色を浮かべながらも強い意志で鬼を見つめると
その屈強な顔は口角を上げニヤリと笑った。
「ならばお前を食ってもいいんだぞ」
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