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「お前に私は食えない」
声が少し震えたかもしれない。誰だって自分の身長の2倍以上ある奴を目の前にしたらビビる。
私はハッタリをかましているわけでも無ければ、実は私が物凄い強いというわけでもない。
鬼は手に持っていた酒瓶を握力だけで砕く。そして不愉快に笑っていた顔に苛立ちの色を映した。
「……なんだって?」
私の頭を掴む手に少し力が加わる。
「もうどうせ気付いてるんでしょ?」
これだけ頭に触れていて気付かないわけが無い。
髪に埋れたこの角に。
鬼ってのは同族意識が強い。
だから、目の前にいるのが明らかに人間だろうが、鬼の象徴である角を持っている奴を殺すなんて事は出来ない……筈だ。
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