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飲み込まれるような錯覚を起こすほどに見開かれた紅い瞳。
その瞳がゆっくりと細まるのを見ていた私の耳に、笑い声が響いた。
「がっはっはっはっはっはっは!!」
その声はあまりにも力強く、鼓膜が破れるのではないかとぞっとする。
存分に笑い満足した様子の鬼は、太い指で私の頭皮――角の部分を探るように
撫でまわした。
「ああ分かっているさ。人の子にはこんなもん生えちゃいないからな」
「…そうね」
「お前どこのもんだ。俺らの島に、こんなちんちくりんなやつはいねぇぞ」
「………」
「…まぁいい。酒の肴にはなりそうにないな」
鬼はゆっくりと私から手を放す。
長く掴まれた頭はジンジンと痛みを感じていた。
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