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「大きなお世話だ。お前こそ、こんな時間にこんなとこ歩いてると遅刻するぞ。い・ち・お・う・優等生なんだろ?」
嫌みったらしく”いちおう”の部分を強調する。こいつのおせっかいにも困ったものだ。いつも俺にかまってくるし正直面倒くさい。
でも、俺のことを気にかけてくれていることにいやな気持ちはしない。昔から俺のことはなにかと気にかけてくれた。
だからこそ……
「早く行け。本当に遅刻するぞ。 別に俺のことは気にしなくていいから」
おれ自身が迷惑をかけたくないと思うのは、おそらくこいつだけだ。こいつだけには……
「……分かった。蒼も急いだほうがいいよ。じゃあ、私は行くから」
俺にそういった後走って学校に向かう姿を、俺はただじっとみつめていた。
自分に言い聞かせるために言うが、俺がこの世で信じているのは金だけだ。世の中のすべては金で手に入る。それ以外は信じない。
これが、俺が両親に教えてもらった唯一の事…… 俺はいままでそれを忠実に守ってきた。 だが、もしかしたらあいつだけは信じてもいいかもしれない。
……たまには走るか
俺は何ヶ月かぶりにちゃんと学校へ行こうかと思った。が……
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