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やつがそういい終えた瞬間、体に悪寒が走った。理由はわからない。でもやつの体から、人間以外の気配を感じたような気がした。…… なんだ、何が起こっているんだ? それに、やつの体から白い煙が立ち込め始めた。神秘的だが、それ以上に恐怖を感じる。今のやつは、今までのやつじゃない。……それに、さっきから誰かと話している。この場には俺とやつの二人しかいないはず……
「さっきから誰と話してるんだ?」
俺の問いかけにやつはこっちを向いた。改めてやつの目を直視してわかったが、目の色が変わっている。
さっきまでは青だったのが、今はグレーのような色になっている。それにこの威圧感…… やつを見てるだけで体がいうことを利かなくなっている。
「 ……ああ、気にすんな。まだお前には関係ない。あとひとつ忠告しておくが……」
そういって、やつは立ち込めている白い煙を指差した。その煙はもう俺の足元にまで広がっていた。 見たところただの煙ではなかったが、必要以上に警戒はしてなかった。が、やつがその煙を指差したことで俺の中で警戒度が一気に増した。
「……少しでも吸ったらお陀仏だぜ」
その言葉が放たれると同時に俺は口をふさいだ。お陀仏って死ぬのかよ……
さっき俺を連れて行くって行ってたくせに、簡単に殺すのか。 死ぬのか…… 短い人生だったな。もっといろんな子とやっとけばよかった。
……そんなことを考えてると、自分の意識が遠のくのがわかった。
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