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雪が降っているな。
ふと思い立って外に出てみたら彼が立っていた。
「一緒に散歩でもしない?」
そう彼が言うから、いいよと私は答えた。
辺りはすっかり白銀に染められていて、さらに空から雪の華を降り注がれている。
彼は綺麗だなと笑って、その手でもって舞っている結晶を次々と手のひらに乗せ、手の熱で直ぐに解けてしまう脆い白を、飽きることなく見つめていた。
「雪って、儚いね…」
手の感覚が無くなってきた頃、何となく言ってみた。
「触れた瞬間に消えちゃう、なんて、儚すぎるよね…?」
彼は少し顔を歪めたように見えた。
「儚いからこそ、綺麗に見えるんだろ…」
「詩人だね?」
「そうかな、でも本当にそう思ったんだって」
「ベタすぎ!ダサいよ、そんなの」
雪の中で、静かに肩を揺らしながら笑い合う。
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