音ーオトー

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「うん」  僕の部屋で和音と二人きり。  今日は僕が缶チューハイを呑んでいる。  こういう光景は、いつだかの和音と呑んだ以来だ。  たまに和音は大量の缶チューハイを手に僕の部屋に転がり込んで、一晩中呑むのが好きだ。  そういう時は決まって嫌なことが和音に起きている。  僕の顔が好きなんだって。  いつも通りの言葉。  聞きなれた言葉なのに、和音が口にすると特別なものに変わる。 「それまでのことはナシにしようなんて、月輝は虫が良すぎる」 「そうだね、でもよかった。もう傷ついた流花を見なくて済むじゃん」  僕の肩に頭を和音が乗せてくる。  瞬間、甘い雰囲気が流れる。  お互いにお互いの気持ちがわかってる。  けど付き合えなかった。  僕は月輝を裏切れないから。  月輝を傷付けたのは僕だから。  どんどん缶チューハイを傾けるのに、ちっとも酔えない。  酒が水みたいに喉をすり抜ける。  こんなの初めてだ。
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