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「軽蔑していいよ。和音にしか言わないけど、もうさ、僕は月輝ナシじゃ生きていけない」
買ってあった最後の缶チューハイをカラにすると、言葉を置くように吐く。
アルコールが体に染み渡っているせいか、震える手を見つめて視線の月輝から付けられた傷に移す。
どれも月輝のワガママ。
傷の一つ一つが、僕は月輝のモノって証であり、僕が僕を見出せるモノ。
月輝から一方的に傷付けられていながら、半分は僕自身が望んだこと。
月輝は壊れてる。
けど、僕は狂ってる。
月輝が一つ傷を作るたびに、痛みがこの体を犯していくたびに、生きているって安心する。
「そんなことないよっ、あたしじゃ代わりになれない?ずっとツラいの、流花が傷つくのが」
和音が顔を向けて、僕の瞳を捕えてきた。
頬を透明な糸が伝う。
僕のために流してくれる涙は綺麗で。
汚い僕には不似合いだ。
「なれないよ、僕はおかしいんだっ。痛くないと“生きてる”って感じがしないんだ」
顔を背けて下唇を噛む。
顔に熱が集中する。
「おかしいだろっ?和音は、僕を傷付けてくれる?」
「できるワケないよ、あたしは流花にもう傷つくことをしてほしくないの」
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