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顔を両手で鷲掴みにされ、額と額が合わさる。
母親が子どもにする行為のように、僕を納得させようとする。
甘く優しく、けど重くずっしりと僕の心に圧し掛かってくる。
和音は優し過ぎる。
汚れて、穢れて、壊れてる僕はやっぱり傍にいてはいけない。
太陽みたいな和音は僕の闇をも晒す。
それをさらに掬い上げて、キレイなものにしてしまおうとする。
眩しくて。
眩しすぎて。
目を逸らしたい。
けど和音はそれを許してくれない。
「じゃあ、僕はどうやって生きてるってわかればいい?意味が欲しい、実感したいんだ。痛みがないと満足できないんだ」
額と額が離されてから捲し立てる。
これじゃまるで子どもだ。
頬を触れれば水が伝う。
和音の前で感情を荒げたのは初めてだ。
いつもカッコつけていたい。
だからいつも冷静を装っていた。
本当は胸の奥底にどす黒い感情があるのに、それを白いカーテンで隠している。
だって和音には絶対知られたくないから。
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