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雅美は結城に理解してもらえるだろうかと、話した後も不安でした。
雅美自身は、京子の苦しみや優しい本質を知っていたつもりです。
けれど、それを第三者に伝えるのは難しいことだと理解してもいたのです。
「八年前……
あの事件は、単に無理心中を図った息子と、死に切れず苦しむ息子の自殺に手を貸してしまった母親の事件だと思っていたが・・・・・・まさか、姫無村の鬼伝説も絡んでいたとは。
同じ八年前に、姫無村でたくさんの白骨遺体が発見されていることも何かの因縁だろうか。
その事件がきっかけで、この町でも姫無村の鬼伝説と来家家の話が広まったと聞いているしね」
結城は雅美にそう返しながら、事件の根の深さに頭の中を整理しないではいられません。
「その白骨遺体こそが、来家の鬼の犠牲者達ですよ」
裕輔の言葉に頷いてから、結城は自分の頭の中の欠片を拾い集めるように、話を続けました。
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