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「それは残念ですね。
ところで……
雅美さんは、姫無村のことにも詳しいようですが。
姫無村は、遥か昔の落ち武者一族の村だとか?
世間に出ることのなかった大量殺人事件、隠され続けてきた村の鬼伝説、呪われた血のことを、雅美さんは全てご存知なんですよね」
「全てかどうかは分かりませんが……
小学生の頃に事件に遭遇したので、その時に姫無村を訪れたり、色々な話を聞いていることは事実です…… 」
雅美は持っている珈琲に口をつけながら、上内と目線を合わせました。
相変わらず温厚そうな表情を崩さないものの、その瞳の奥に光る上内の聡明な刑事の顔が、雅美に緊張感を与えます。
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