2658人が本棚に入れています
本棚に追加
雅美は階段を上り切ると、急に足を止めました。
「アツシ……! 」
振り返ると、階段の手摺に掴まりながらゆっくり上ってくるアツシに、小さな声で呼び掛けます。
「誰かいる……社の裏。
向こうから回ってみる」
小さな声が聞き取れなかったアツシが首を傾げて見せると、雅美は社の右手を指しながら『向こうに行く』と口を動かしました。
アツシは事情が良く飲み込めないものの、頷いてみせると追いつこうと急いで残りの石段を上ります。
雅美は社の方を気にしながら、大きな音を立てないように歩を進めました。
最初のコメントを投稿しよう!