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気がつくと、大介の部屋はビリビリに破かれた本やノートが散乱し、整理箪笥はなぎ倒され、椅子を叩きつけたことにより窓硝子も割れて飛散している状態だった。
「ちっ! 」
大介は床に転がっていたマグカップの破片で足を切ってしまい、血が滲み出した傷口を押さえた。
大介は、何もかもが上手くいかない自分の生そのものを恨んでいる。
サラリーマン家庭で育ち、父親は大手の証券会社で管理職、中高一貫校で受験の厳しさのないまま高校一年生になっていた。
大介の言葉を借りれば、同級生達は聞き分けの良いブロイラー状態。
長いものに巻かれて、事勿れ主義で澄ましている。
変化のない毎日に飽きもせず、登下校している姿もムカついてくる。
家に帰れば、大介よりも数段に賢く、親の言いつけを良く守る小一の妹は、小学校から私立校に通わされた両親のお人形だ。
顔も可愛らしく、性格も温厚と言う出来過ぎたところも、やはり大介のムカつきの対象だった。
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