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大介が部屋から出て階段を下りると、立ち竦んでいる母親と目が合った。
二階の物音に、どうしていいのか分からずにオロオロしていたのが想像できる。
大介は面倒臭そうに母親を無視して玄関に向かう。
「大介! 」
大介にとって母親の呼び掛けは自分を責める理性の声と重なる。
後ろからの視線を背中で受け止めることさえも苦痛だ。
誰が悪い訳でもない。
悪いのは、こんなひねくれた自分なのだ。
大介は、母親からも理性からも逃れるように家を飛び出していた。
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