2012/12/21

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志「えー、さっきそこで会ったピンクのお姉さんに頼まれて急遽俺が代理できましたー」 ア「(ピンクのお姉さん? ああ翠のことか)へぇ、何か聞いてない?」 志「んー、『イカれ野郎と対談とかなんの罰ゲームダヨッ』って言ってたなぁ。どういう意味?」 ア「(あの女……)君は知らなくていいことだよ」ニコリ 志「俺は槇志艶(まきしづや)。よろしくねぇ」 ア「オレはアラン・リーヴス。こちらこそ。――ところで君、いつまで猫被ってるの?」 志「何のこと?」ピクリ ア「そんな猟奇的な目を持たれちゃあねぇ」 志「あっははやっぱお兄さんただものじゃないね! どうりで俺と同じ匂いがするはずだ。あーあ、初対面の人には柔らかく接しなさいって桜夜に言われてんのになぁ」 ア「桜夜?」 志「そうそう。もうこの世のものとは思えないぐらいの美人! 優しくて、料理上手で、俺だけの女神なんだよ。儚げで、今にも消えてしまいそうだから俺が守ってあげるの。美しいものにはそうでないものがウジャウジャたかってくるからね。ほんっとどあつかましい! お前らはスタート地点にさえ立てないってことを自覚しろ! 汚物ごときが桜夜の視界に入ってんじゃねぇよ! 目障りなんだよ! ――、ああごめんね取り乱しちゃった。そんなわけで、桜夜以上に綺麗な女はいないんだよ」 ア「君が思ってる以上に世界は広いよ。だから、訂正して。その“桜夜”とやらよりも綺麗な女はいる。あの子は奇跡が生んだ産物だ。究極の芸術作品なんだ。他の誰とも比べることさえおこがましい。一度見たら中々頭から消えてくれない。ああ早くオレだけのものにしたい。奪われないように、きちんと硝子ケースにしまっておかなくちゃ。そうしてずっとずっと傍らで眺めているんだ。美人は3日で飽きる、なんて言う輩は本当の美作に出会ったことがないからなんだ。だってオレは今の一度も、こころに飽きを感じたことないならね」 志「はぁ? 桜夜が一番に決まってんじゃん。つか頭おかしいんじゃないの、あんた。そんな閉じ込めるような真似して、自由に気ままにさせてあげるから美麗なんじゃないか。動かないものに魅力なんてないよ」 ア「 分かっていないのはお前の方だよ。静止したままだからこその輝きがそこにある。捕まえた蝶々を剥製にして標本にするのは何故か? 永遠に美しい形で手元に置いておきたいから――」 はーい強制終了!
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