第二罪 嫉妬

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 君に決して知られてはならない。  僕のこのどす黒く醜い想いを──。  君はクラス一の遊び人。小さい頃から秀才だ真面目だと言われ続けた僕とは真逆の存在。だからこそ僕は君に無性に惹かれてしまう。  白い肌、陽に透ける茶髪。人の心の奥底を完全に見透かすような切れ長の眸に、濡れて挑発的な薄い唇。柔らかそうな耳朶に孔いた校則違反のピアスが光る。  もし、万が一でも絶対にそんなことはあり得ないけれど、それでももし、その唇から毀れる甘い声で囁かれたら、僕はきっとそれだけでイッてしまいそうだよ。    そんな綺麗な君の周りはいつも派手な取り巻きでいっぱい。君はその中心に君臨して、惜しげもなくその蕩けるような極上の笑顔を皆に振りまいて。  ああ、その笑顔、一瞬でいいから僕の為にだけ見せて欲しい。僕以外の誰かにその笑顔を晒すなんて絶対に許せないよ。  お願いだから僕に気付いて。よそ見しないで僕だけを見て。  吹き抜ける風が君の香りを運んでくる。僕の知らない君の香り。
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