第二罪 嫉妬

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 慌てて振り返って、寄りそう君と彼女の後ろ姿を睨みつける。無意識のうちに両手の拳を握りしめ、唇を強く噛んでいた。  どうして君の隣にいるのがあの彼女で僕じゃないんだろう? どうして同性の君を好きになってしまったんだろう?   できるならあの女をメチャクチャにして、君を奪ってしまいたい──。    僕の奥底に巣食うこんなどす黒い感情を嫉妬と知ったのはつい最近のこと。  君を好きになってからなんだ。  君に知られてはいけない、でも知って欲しい。共にいられないなら、せめて君と同じ物を共有していつも君を感じていたい。  君と同じピアスを僕もしよう。  そう、孔けるのはもちろん右耳に。
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