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──知っているよ、アイツだね。こんなに愛しあっているボクとキミを引き離そうとしている憎い奴。
あのヒステリックな喚き声、怒りに歪んだ醜い顏に乱れた髪、僕を見つめる狂気に満ちた血走る双眼。
思い出すだけでも反吐が出そうだ。
「お願い。私を置いてどこにも行かないで。ひとりぽっちにしないで。あなたがいない間にあの人が私に何をしているかあなた知っていて?」
可憐で小さな唇から不安気なかぼそい声が洩れる。
「私に対して……とても口にはできない恐ろしい言葉を叫びながら、髪を引っ張って殴る蹴る……」
キミの小さな身体が恐怖のためにふるりと身震いする。
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