第五罪 傲慢

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「ごめんね……フェイ……ごめんね」 「またお母さんうなされてる」  介護用ベッドで寝ている祖母を見て母はため息を吐いた。 「なんだろね? 悪い夢かな?」  あたし、るりかは祖母が大好きだ。共働きだった両親の代わりに、小さい頃からあたしの面倒をずっとみてくれていた祖母。その祖母がここ最近とうとう認知症の症状が顕著になってきたのだ。最初はちょっとした物忘れだった。それが次第にかなーりおかしな思いこみとなって、最近では完全に妄想と化している。  趣味で行っていたお習字のサークル。そこでの忘年会に出てからというもの、症状が顕著になった。なんでもサークルの人達全員が自分の悪口を言って、よってたかって自分を仲間はずれにしているという……そしてその場で先生に申し出てサークルを辞めてしまったというのだ。そこまでなら何とかまだ理解できた。おとなげない態度だな、と思っていたけれど。
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