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「まあ、お兄様ったら相変わらずお上手ね。いつも他の女の人にそんなことをおっしゃっているのでしょう?」
瑠都は悪戯っぽく笑いながら、絵麻緒の腕を取って部屋に招き入れドアを閉める。すかさず絵麻緒は鍵をかけた。
「お兄様?」
怪訝そうな声を発して瑠都の漆黒の瞳がきらりと輝く。絵麻緒はその端正な顏に薄い笑みを浮かべながら、待ってましたとばかりに瑠都の身体を引寄せ両腕でかき抱く。
「遅かったじゃないか……待ちくたびれて俺はもう我慢の限界」
耳元で囁く掠れたハイトーンヴォイス。瑠都は絵麻緒のこの声が好きだった。
「あら、これでも私だっていろいろと……」
最後まで言い終ることが出来ずに、瑠都の綺麗に塗られた深紅の唇は強引に絵麻緒の唇で塞がれた。
「瑠都……すごく綺麗だ。俺の瑠都……ずっと昔から俺のものだ……誰にも渡したりするものか!」
「お兄様、待って……ちょっとお待ちになって……!」
上目遣いの甘えた声。誘うように細い両腕を絵麻緒の首に回し耳元で囁く。男を惑わす瑠都の得意技だと知っていても、どうしてもその罠に堕ちてしまう。絵麻緒は了承の意味をもって瑠都に深く口づけ舌と唾液を執拗に絡ませ合い、存分に互いを味わう。
いつからだろう。瑠都を妹として見られなくなってしまったのは。
自分のどす黒い欲望を抑える事が出来ずに瑠都を求めたその日。実の兄妹でありながら禁忌を超えてしまったことに決して後悔はしていない。
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