プロローグ。

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 それに呼応するかの如く、俺の前方約二メートルくらいだろうか。その空間も同じように光を放つ。演出にしてもやり過ぎだぜ……!  発光を続けた空間はやがて円状に広がり、人一人通れる程度の、黒々とした空間を作り出した。 「まさか……」  これを通れ、と?  覚悟を決めて来たつもりだが、未だかつて知らぬ技術と、未知への恐怖が相まって一歩を踏み出せない。  やがて、足踏みする俺に痺れを切らしたのか、黒い空間は『吸収』を始めた。 「う……そだろ!?」  ブラックホールのように砂利を巻き上げて吸い込むソイツ。踏ん張りの効かない地で、俺は為す術も無く巻き込まれた。 「うわぁぁぁぁぁ!!」  ダイソンを上回る吸引力。次に感じたのは、落下する感覚だった。黒い空間は、どうやら上空らしい。  俺、死ぬのか?  引力に引かれて気を失う直前。走馬灯のように過去の出来事が蘇った。
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