第一楽章

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音楽準備室で 楽器の片付けをしていたら、 さびれた音で扉が開いて 君が入ってきた。 きゅ、と蛇口を捻って 銀色に光るカップ部分に 吸い込まれていく、水。 無言でそれを眺める君。 表情は窺えないけれど、 なんていうか、 空気でわかった。 「どうした?」 水道から離れていた場所から 私は声をかけた。
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