第一楽章

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君はびくりと肩を震わせた。 「大丈夫です」 いつも通りの君の声。 でも、少しだけ掠れていた。 でも、少しだけ震えていた。 私はその異変に容赦ない。 気づいてしまったのだから。 君が泣いていることに。 「大丈夫じゃないだろ」 「大丈、夫です、」 ぷい、と横を向く君。 話してる人の方 ちゃんと見なさいよ、 と言わんばかりに 腕をつかんで引き止める。 「大丈夫に見えないから」 そっと顔を盗み見る。 そんな君の表情は 悔しさとか悲しさとか いろいろごちゃごちゃして見えた。 簡単に言うと泣いてた。 ほら大丈夫じゃないじゃん。
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