5人が本棚に入れています
本棚に追加
まだ子供だった頃、俺は怪我をした蛇を助けた。人間にいじめられたらしいその蛇は、腹から血を流していた。元気になった蛇を森に帰す時に、俺は「またね」と言った‥
「…おい」
「ん?」
突然、人の往来も気にせず辰人が俺を抱き締めた。殴られた頬を撫でられる。
「…悪い…お前が殴られて…見境付かなくなって…」
「‥それはもう良いから‥離れろ」
「…」
無言で俺の手を捕まえたまま歩き出す辰人は、多分笑っていた。
もう三年くらい前‥俺の家に転がり込んで来た辰人は、俺に会いに来たと言った。
-あの時「またね」と言った-
時が止まった気がした
理想が服来て目の前に立ったような感覚に
最初のコメントを投稿しよう!