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「ねぇ高岡くん。私ウワサが流れてるんだけど、知ってる?」
「……知ってるけど」
なんで今、そんな話を持ち出すんだろう。
相変わらず掴めない永井さんは、青空を目を細めて眺めている。
「お兄ちゃんが好きとか、既婚者と不倫とか。女の子って噂が好きだよねー」
のほほん、と永井さんは笑う。
噂に傷ついているのを隠してるのか、本当に気にしてないのか。
彼女の考えは誰にも分からないけれど、いつか分かり合いたいと思った。
彼女が心を許していいと、この人ならと思ってくれる様な人になれたら、と。
「……その人は、交通事故で死んじゃったんだけどさ。死んじゃった人はもう嫌いになれないから」
切ないねと、彼女は空を仰ぐ。
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