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「……なんで叶わないなんて…」
俺の問いかけに、永井さんは顔色1つ変えずに小さく呟いた。
彼女の唇が薄く弧を描いたのは、自嘲したのかそれとも。
俺の知らない誰かが、彼女の心を掴んで離さない彼との思い出が、そうさせたのか。
「…その人、もう死んでるから」
答は、後者だった様に思う。
永井さんの抱えている『何か』は、俺たちの想像より、
もっとずっと複雑で、
きっと果てしなく重い。
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