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侍の言葉の端々がわからなくて、私はノートパソコンを起動させて、ネットで検索しつつ、侍のことを聞いていく。
この侍の言葉に嘘がないとしたら、徳川家光が将軍の時代、西暦にすると1600年代から侍はきたこととなる。
約400年ほど昔の人。
家光の時代の大きな事件で私でも知っているのは島原の乱。
キリスト教弾圧が有名な内乱だ。
天草四郎が16才で総大将とかいうのが有名かもしれない。
この後に日本は鎖国していくことになる。
徳川三代将軍、家光。
どちらかといえば、まだまだ戦国時代の名残があるのだろうか。
日本史は得意じゃない。
買ってきたご飯はすべて侍が食べきった。
お湯の出し方を教えてお風呂に入ってもらって、買ってきた服に着替えてもらって。
着物なんて洗濯機でまわしちゃだめだろうと、クリーニングに出すためにまとめておく。
気がつくと侍はお腹も満たされたからか眠っていた。
外でそんなに眠れるものでもないだろうし、眠っていなかったのかもしれない。
お布団をかけてあげて、私はお世話をしてしまっている。
野良猫しては大きいかもしれない。
このまま飼ってもいいものなのか謎だ。
私がこの人にしてあげられることを、その寝顔を見ながら考えた。
なんにもできないけど、話を聞いてあげることはできる。
眠る場所くらいはあげられる。
別に遊びにも飲みにもいかないし、食費も出してあげられる。
…元の世界に返す方法も…考えてあげられるかも。
年末年始の長期休暇。
死んだようにひたすら眠る侍のそばで、私は静かに本を読んでいた。
がばっと突然、侍は起き上がって、私は侍を見る。
「おはよ。まだ眠っていても大丈夫だよ。もしも私の気配が気になるなら、部屋もう一つあるし、そっちで眠る?」
物置にしか使っていない小さな空き部屋がある。
ワンルームではない、私の家。
侍をこのまま飼うことくらいできる。
「……姫…ではない。高山殿…。…拙者、いつの間にやら眠ってしまい、誠に申し訳ない。早く出ていかねば…」
侍は近くに置いていた刀を手にして立ち上がる。
「別にいいよ?ねぇ?一緒にあなたが元の時代に戻れる方法、考えてみない?だから今はもう少し眠っていてもいいよ」
「…高山殿は…お優しくあられる…。甘えてしまってよいのかわからぬ」
「甘えていいよ。あなたのここでの知り合いは私しかいないでしょ?」
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