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「そういうわけにもいかぬでござろう。高山殿は見たところお一人で暮らしておられるご様子。拙者のような者が厄介になれようか」
なんか男だとか女だとかを理由に断られたと思う。
まぁ、確かに少しは考えなかったこともないけど、6つも年下だし。
話していても、とても男女関係になる気がしない。
ただ、これがただの遠慮なら、される必要は私にはない。
「外で暮らしていくの?すぐに雅忠さんの時代に戻れる宛でもあるの?」
「それは…。…しかし見ず知らずと言ってもいいほどの拙者をおいていただく理由もなかろう?」
「ないよ。でも迷惑してもいない。最初はこわかったけどね。なんか侍だし、追いかけてくるし。でも今はこわくない。
乗りかかった船…でいいんじゃないかなって。だって雅忠さんがちゃんと生きているのか気になっちゃうもの。今日、私、あなたに会いにあの広場にいったの。どこにも行く宛がないなら、ここにいてくれたほうが私が安心する」
はっきりと私の思っていることを伝えてみると、侍は刀をおいて、私に向き直って正座をして。
両手を床についたと思ったら、また私に頭を下げた。
頭のてっぺん禿げているけど、後ろ髪は長い。
寝ていたから帽子とってしまったけど、帽子は髪が綺麗にはえるまでいつもつけているほうがいいと思う。
…って、彼が頭を下げるたびに私はそこばかり見てしまっている。
だって頭を下げられることじゃない。
「…拙者はここにおいていただいても何もできぬかもしれぬ。いつ帰れるのかもわからぬ。そなたのお心が痛いくらいに身に染みる。
高山殿、拙者にできることがあるのなら、そなたに身を尽くさせていただく所存でござる。
よろしうお頼申す」
…なんでこんなにかわいいんだろ。
そのてっぺん禿げ撫でまくりたい。
いいもの拾ったかも。
「んじゃ、まずは高山殿って呼び方やめてもらってもいい?瞳子でいいよ」
「瞳子…殿でござるか?」
「敬称略でいいよ?」
「…そういうわけにもいかぬ。拙者はそなたに厄介となる身。拙者のいた時代には、しばらく帰れぬという覚悟もござる。禄をとる手段を教えていただければ、いずれは出ていかせていただくが、今はそなたの厄介になるしか拙者が生き延びる手段はないように思う」
…うん、まぁ…、ずっといてくれても困らないけど。
私にとっては…侍ペット。
…とても言えない。
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