265人が本棚に入れています
本棚に追加
あぁ、クリスマスかぁ。
クリスマスなんだねぇと、ただ受け止めていた。
だって私には彼氏はいない。
暇を持て余す友達もいない。
今年も普通に仕事をして帰りにコンビニのケーキでも気が向いたら買うくらいだろう。
…なんか虚しい。
コンビニ弁当を一人暮らしの部屋で食べて、彼氏がいればなぁと考えてみたりして。
隣のオフィスの男前に声をかけてみようかなんて思ったりして。
でも男前だし。
彼女くらい普通にいそうだ。
コンビニの店員でもいいかと思ってみても、なんか愛想ないし、私よりいかにも年下っぽい。
彼氏にするなら年齢はどうせなら同じか少し上くらいのほうがいい。
だから学生なんて嫌だし、社会人がいい。
車持っていて、休みの日はドライブ連れていってくれるとか、すごくいいかも。
相手のいない私は、その妄想に隣のオフィスの男前を当ててみる。
一人でにやけて完全に淋しい女になってしまった。
溜め息をついて、いつものように軽くシャワーを浴びて、ベランダの鍵がちゃんとかかっているか、髪を拭いながらカーテンを少し開ける。
外は寒いのだろう。
窓は曇っている。
ベランダを開けて外に出てみると、湯上がりの体が一気に冷えた。
空は町の明かりで星一つ見えない。
じーっとただ空を見上げていた。
流れ星でも見えないかなと。
そしたら願いをかける。
彼氏をください。
……なんでこんなに虚しいのっ?
やだやだっ。
ベランダを閉めて、鍵をかけて。
温めたミルクを飲んでから、いつものように目覚ましをセットして就寝。
明日はまたいつもの時間に起きて仕事。
繰り返すだけの何もない毎日。
次の休みは新しいコートでも買いにいこう。
それくらいしか気分転換もない。
…もしも願いが叶うなら…、隣のオフィスの男前ほどじゃなくていいから、本当に普通に出会いが欲しい。
最初のコメントを投稿しよう!