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「訴えるの?」
「ん?」
「私を訴えるの?」
「え?俺が?」
頷く女に、俺は慌てて答えた。
「まさか!あんたのおかげでアイツに痴漢を認めさせること出来たんだし」
「だったら問題ないわ。まあ、あの男に訴えられる危険性はあるけど」
「なんでアイツに訴えられるんだ?悪いのは向こうだろ?」
「あなたも今言ったでしょ?盗撮は犯罪だって。盗撮ってことに関しては、向こうも私を訴えることができるのよ。でも、そうしたところで何のメリットもないから、あの男の弁護士が減刑のため取引材料に使ってくる可能性はあるかも」
「取引材料?」
「例えば、盗撮の事実があれば訴えなければならないが、もし、その事実がなければ自ずと映像は存在しないということになりますよねとか」
「なんだ?その取っ手つけたような言い回しは」
「平たく言えば、盗撮を訴えることはしないからその映像は証拠として提出しないでほしいってこと」
「なんだよ、それ!弁護士がそんな脅迫まがいなことしていいのかよ」
「あくまで、交渉の一環だと言うだろうし、相手はプロだもの。脅迫だと認められるような言い回しは使わないわ」
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