3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういうものなんだ」
「少なくとも俺はな。さっきは、信じられなくて行動が遅れたけど、今度アイツ見かけたらブッ飛ばす!」
ふんっと俺は気合を入れた。
「されるがままになってるのどうしてなのか気になってたんだけど、そういうことだったんだ」
女がクスッと笑って言う。
「そりゃそうだろ。俺にあんなことしてくる奴がいるなんて思わねえよ」
「そう?意外とそっち方面でモテるのかも」
「やめてくれ。女にモテる方がいい」
嫌がる様が面白かったのか、女が可笑しそうに笑う。その顔が思いのほか無邪気に見えた。
勇ましい部分を見ていたせいかもしれない。対比した表情は愛くるしく心が和んだ。俺もつい口許が綻ぶ。
そして、今更ながらまだ礼を言ってなかったことに気付いた。
「そうだ。助けてくれてありがとな。あんた腕っぷし強いな。格闘技でもやってるのか?」
「昔、合気道を習ってた」
「合気道か。強いわけだ。でも、女なんだからあんまり無茶すんなよ」
女がいきなり目を見開いた。
なんだ?
そう思った矢先、今度はプッと噴き出す。
え?おい、なんだよ。俺、変なこと言ったか?
「変わってない」
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!