3人が本棚に入れています
本棚に追加
変わってないってどういうことだ?
「気を付ける。この映像はどうしよう?」
「え?――ああ、消してくれ。そんな気持ち悪い映像見たくもない」
「分かった」
女は俺の目の前で映像を削除した。
「なあ、変わ――」
「あ…急げば一限、間に合うかな。じゃあ、私行くね」
削除した際、携帯の時計を確認したのだろう。変わってないと言った意味を聞こうとした俺の言葉を遮って、そう呟いた女は立ち去ろうとする。
「え…ああ、悪い、時間取らせて」
「それじゃ」
「あ!待って」
そうだ、何か礼を。
そう思った時には、立ち去ろうとする女を引き留めていた。
「礼がしたいんだけど、携番教えてくれないか?」
女がびっくりしたように目を見開く。
「携番がダメなら、メアドでもいいんだけど」
まだ黙ったままだ。
「ナンパじゃねえから。純粋に礼がしたいだけなんだ」
俺、必死過ぎかな。言えば言うほどナンパしてると思われるかも。
そんな俺の胸の内を見透かしたように、女がクスッと笑った。
だけど、その後に続いた言葉は予想外だ。
「いいの?今、知ったら後悔するかも」
「え?」
「今度会った時、知りたかったらもう一度聞いて。その時は教える」
今度会った時?
最初のコメントを投稿しよう!