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「はあ?触ってたじゃねえか。往生際悪いこと言ってんじゃねえよ!」
「君の勘違いだよ。私にそんな趣味はない」
「俺もねえよ!見てみろ、鳥肌立ってる!」
俺は、男の目の前に掌をかざしてやった。だが、男は一瞥しただけで、訳の分からないことを言い出した。
「確か、鳥肌は興奮状態でも立つそうじゃないか。妄想でもしていたんじゃないのかね」
は?
「欲求不満をこんな所で発散しないでもらいたいものだね」
男は痛さに顔を歪めながらも、ふっと鼻であしらうように笑った。
「君もそろそろその手を離したまえ。今ならおおごとにはしないでおくから」
男は女に視線を変えると、ふてぶてしいことをほざいていく。
コイツ…。
俺は怒りに体を震わせた。
しかし、ボソボソと聞こえてきた声が耳に入って、怒りのバロメータが一気に下がってしまった。
だって、こいつら、こんな奴の話を真に受けて同情し始めたんだぜ?
挙句に、俺のこと、奇異の者でも見るような目つきで見出す有様で。
中には、俺と目が合った途端、あからさまに目を逸らす奴もいる。
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