139人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで?葵の件とは?」
充はソファーに腰かけると、早速聞いてきた。
「はい。
あなたは、小川加奈さんをご存じですね?」
「ああ。懐かしいな。昔、よく家に来ていた庭師のトコの子だ。弟の方は、私と同い年で、よく遊んだのを覚えているよ。」
「その小川加奈さんが、15歳で病死した事は?」
「ああ。元々それほど体が丈夫ではなかったと聞いていた。」
「…その加奈さんと名乗る人物が、17歳で子供を産んでいるとしたら?」
「?加奈さんは15で亡くなっているのに?」
「誰かが、小川加奈を名乗っていた。
その当時、こちらの葵さんは政略結婚の話がありましたよね?それがいつの間にか立ち消えた。そして、その頃から葵さんが人前に出る事がなかった。」
「何が言いたい。」
「葵さんは病気で臥せって屋敷に籠っている…と花京院家は言っていたそうですね?
実は、葵さんは その時 花京院家には居なかったのでは?」
最初のコメントを投稿しよう!