10人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと気付いた時、私は少女の小さな手の中にいた。黄金色をした、小さい太陽のような姿の兄弟達と一緒に。
「パーパ」
精一杯、背伸びをした少女は、小さな指で背の高い男の服をつまんだ。
少女の声に気付いた男は微笑みながら振り向き、しゃがみ込んで私の兄弟を受け取ると、ありがとうと言って、そっと少女の体を抱きしめる。
どこか悲しそうな男の様子に気付いたのか、少女は私を男の目の前に差し出した。
「笑って?」
少女の笑顔につられて男が笑う。
男は私に顔を近付けると、フッと息を吹きかけた。
私の体は風に乗って空に舞い、遠い遠い旅が始まる…。
.
最初のコメントを投稿しよう!