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「マーマ」
「あら、きれいね」
私を褒められた少女は嬉しそうに笑い、空になった牛乳ビンに水を入れて私を飾ると、落とさないよう両手で大事に持って窓辺へと運んだ。
開け放たれた窓からは、爽やかな風が入り込み、白いレースのカーテンを揺らす。
その下にある小さなベッドには、小さな赤ん坊がすやすやと寝息を立てていた。
どんな夢を見ているのだろう。
眠っている赤ん坊が楽しそうに頬笑んだ。
少女が人差し指を口に当てて、そっと母親に目配せをする。
母親も片目を閉じて、そっと少女に頬笑みを返した。
窓からこぼれる日差しが笑う。
部屋を通り抜ける風も笑った。
部屋の外では木々が歌い、
名もない花達が歌い、
鳥や虫達、
海や大地も、
空も、
風も、
雲も、
太陽も、
全てのものが歌い、笑う。
私も歌おう。
これからも幾度となく、たくさん悲しみが、押し寄せて来ようと。
繰り返し、繰り返し…。
何度でも。
“笑って ほら、笑って”
≪Fin≫
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