不可視

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――――  数日後、小坂はまた林原を尾行した。もちろん霊体で。  あの後、潤のカードを奪った小坂だったが、それはとても容易だった。  霊体で潤の様子を観察していると、潤は居酒屋で酔いつぶれ寝てしまっていた。そこを小坂はチャンスと考え、幽体離脱を止め、潤の友人を装い居酒屋を出た。そしてカードを奪い、駅に潤を捨てたのだ。  林原を付けていれば潤に会えるかもしれない。絶望した潤の顔を、小坂は見てみたかったのだ。  林原の後を付いて行くと、あまり馴染みの無い場所へたどり着いた。  廃バスがたくさん放置されていて、広いゴミ捨て場を小坂はイメージする。やがて、昔、停留所だった場所なのかもしれないと結論づいた。  一体、こんなところで林原は何をするつもりなのだろうか。 「林原さーん!」 「おう」  アロハシャツを着た潤が、手を振って林原の元へ駆け寄る。この前は無かった、ネックレスや指輪を付けていた。  買ったのだろうか。それとも前はたまたま付けてなかっただけなのか。それ以前に、まだカードが無くなっている事に気付いていないのか。  なんて間抜けなんだ。これでは来た意味が無い。  「見てくださいよ、これ! マジ良くないすか?」  潤は両手に付けている指輪を林原に見せびらかし言った。やはり買ったのか。一体どんな収入が……。
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